探偵ブログ2022.04.26

浮気(不倫)調査に支払った探偵への調査費用は慰謝料として請求できるのか!?

浮気(不倫)調査に支払った探偵への調査費用は請求できるのか!?

(話し合いで解決する場合)

例えば、夫の浮気調査を探偵に依頼した際に支払った調査費用は、夫やその浮気相手に慰謝料として請求することはできるのか?

答えは、

尉謝料請求と合わせて探偵の調査費用(実費)を請求するのは自由です。

ですから、任意の話し合いで解決する場合には、慰謝料の他に、探偵調査費用は請求でさ ますが、あくまでも相手方が応じるかどうかは

相手方との話し合い次第となります。

トータルでの金額と判断することになります。

(話し合いによる解決が出来なかった場合)

相手方が任意の支払いに応じず、話し合いで解決しなかった場合には、裁判によって請求 することになります。

裁判になった場合、裁判所は、探偵調査費用を損害賠償の対象として認めてくれる場合と 認めてくれない場合があります。

裁判例によるその判断基準は概ね次の様に考えられます。

■判断基準

当該調査が、不倫の立証に相当程度必要又は不可欠であったか否か。

また、調査が必要とされても、全額が認められるとは限らず、「相当な範囲」のみ認められます。

判例

■調査費用が認められたケース1

東京地方裁判所平成 20 年 12 月 26 日判決 事件番号 平19年(ワ)33582号

原告としては、被告の氏名が本名かどうかも分からず、その素性も明らかでなかったこ とから

これを明らかにするために探偵社に調査を依頼したものであり、その調査により 被告とAが一緒に旅行した際の状況や、

被告の自宅にAが一晩滞在した際の状況などが 明らかになったものであって、かかる調査は、

被告による不貞行為の存在を立証するため の調査として必要性のあったことは明らかというべきである。

もっとも、原告が自らの判断により、多額の調査費用を支出した場合、

そのすべてが直ち に被告の不法行為に起因する原告の損害となるというのは不合理というべきであって通常必要とされる調査費用の限度で

被告の不法行為と相当因果関係のある損害となると認 めるのが相当である。

そして、前記認定の被告とAの不貞関係の状況や原告が探偵社に調査を依頼した状況等に 照らせば、調査費用のうち100万円をもって、

被告の不法行為と相当因果関係のある原 告の損害と認めるのが相当である。

■調査費用が認められたケース2

東京地方裁判所平成22年 7月28日判決 事件番号 平21(ワ) 26922号

「原告がオフィス東京に支払った16万9290円の調査費用について検討するための 調査がなければ被告による

不貞行為を立証することは事実上不可能であったと認められ るし、その額も相当であるから、相当因果関係を認めるのが相当である。

■調査費用が認められなかったケース1

東京地方裁判所平成 22 年 2月 23 日判決 事件番号 平21年(ワ) 9934号

本件において、被告は当初から本件調査の範囲外の時期における不貞行為の事実を認め ており、

本件調査が本件訴訟の立証に寄与した程度は低いものといわざるを得ないことを 考慮すれば、原告が負担した上記調査費用は、

被告の不法行為と相当因果関係のある損害 として認めることはできない。

■調査費用が認められなかったケース2

東京地方裁判所平成 22 年 12月 21 日判決 事件番号 平22年(ワ)17240号

原告が、平成21年5月頃、男性との密会の様子についてのAによるSNSへの書き込み を認めて、

同年5月26日、日本興信探偵業協会ことMRに対し、Aの行動の調査を依頼 し、調査費用として315万円を支払ったこと。

MRが同年7月末頃、原告に対しAと被 告の密会の状況等を記載した調査報告書を提出したこと。

原告が、同年8月上旬Aに対し 上記調査報告書を示して、被告との関係を問い質したところ、被告と密会していたことな どを認めたことが認められる。

そうすると、原告は、Aによる男性との密会の様子につい てのSNSの書き込みの存在を認識していたというのであるから、

原告がMRにAの行動 の調査を依頼せざるを得なかったということはできず、その調査の必要性及び相当性を 認めることはできない。

したがって、上記調査費用は、被告の不法行為と相当因果関係を 有するものということはできない。

※重要なポイント

調査費用を請求できるかどうか、ポイントは「浮気調査をしなければ浮気が立証できな かったのか?」というところになります。

例えば、既にメールのやりとりで性的な関係が明らかであったというような場合では、認められにくいようです。

一方、パートナーも周到に証拠隠しをしていて自力では絶対に証拠を見つけられなかっただ スらと判断されれば、

調査費用は全額認められたケースもあります。

認められる金額もさまざまで、一切認められない、全額認められる、

意外にも、

「150 万円のうち 100万円は認の られる」

「100万円のうち 20 万円が認められる」というケースもありますから、

個別の事 宏に応じて調査の必要性及び金額の相当性、当該調査結果が不貞行為の立証にどの程度寄与 したかなどの事情を総合して、

相当因果関係の有無を判断しているようです。

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