探偵ブログ2022.04.14
探偵・調査業に関係する法令について解説をしました。まとめ
探偵・調査業に関係する法令について解説をしました。まとめ
1 人権
①人権と調査業務
調査業務は個人、法人に係る事項を個別に調べることから、直接的にも間接的に も常に人権に関係する。
個人情報なしには生活できない現代の情報化社会におい て、プライバシーに代表される人権意識が高まりつつある。
調査業務をめぐって も必ず人権問題が係わってくる事を常に考え、人権を無視した考えを起こさない ようにしなければならない
②憲法からみた基本的人権の尊重
憲法第3章には、基本的人権は国民1人1人が生きること、幸福を追求するこ と、職業を選択することなどを永久に保証されており、国の最高の規範である といえる
③基本的人権の性格
憲法第3章 第11条には、国民はすべての基本的人権の享有を妨げられない。
この憲法が国民に保障する基本的人権は侵すことのできない永久の権利として、
現在および将来の国民に与えられる、と規定されていることから、人間という だけで国家でさえ侵すことのできない権利であることが明らかであり、
調査に よって侵害されるようなことが到底許されることではないことを、よく理解し 調査業務を行うこと
④基本的人権の種別
-1 自由権
(内面的自由) 思想、良心(信条)、信教、学問の自由など
(外面的自由) 集会、結社、言論、表現の自由など、通信の自由なども含まれ
(人身の自由) 奴隷的拘束及び苦役からの自由、刑罰執行以外の意に反する使役からの自由
(経済的自由) 住居、移転、職業選択の自由 その他財産権
-2 社会権
生存権、教育を受ける権利、勤労の権利、労働基本権
-3 受益権
請願権、裁判請求権、国家賠償請求権、刑事補償請求権
-4 参政権 公務員の選定罷免権
⑤基本的人権の制限(基本的人権と公共の福祉)
憲法第12条、「この憲法が国民に保障する自由及び権利は・・・
国民はー を濫用してはならないものであって、常に公共の福祉のためにこれを利用) る責任を負う」とあるように
人権を濫用して争いのないように公共の福祉に より制限を受けると定めてある。
公共の福祉、「人権相互間の矛盾、衝突を調整する実質的公平の理論」と判例では解釈されている
⑥幸福の追求権
憲法第13条「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、
公共の福祉に反しない限り、立法その 一番京 他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」幸福の追求とは何か、プライバシー権も幸福の追求権の一部。
プライバシー権の中には日照権、肖像権など 35含まれるが、プライバシー侵害による判例では肖像権の侵害が一番多い。自像権の侵害には十分留意し調査業務を行うこと
例)浮気調査の対象者が浮気相手以外の人物と食事をしている映像、画像など、または対象者の子供などの映りこみなどがプライバシーの侵害に当たるケース もある
趣味、思想にかかわる内容。SM 趣味などは本来、個人の趣味的志向であり差 別の対象になり得るためプライバシー侵害等の対象になる可能性がある。
調査 目的、依頼内容などにより判断する
2 プライバシー権 (プライバシーとは)
① プライバシーの根拠
プライバシーに明確な定義はない。
判例や学説によると「個人が他人に知ら れたくない私事をコントロールする権利」と言える。個人の私生活を濫りに公表させない権利ともいえる。
また肖像権は公表が前提でなくとも承諾なく 大ントの関して容貌、姿態を撮影させないことも幸福の追求権として保障されることか ら注意が必要である
② プライバシー権が成立しない場合(公表する場合)
すでに公表されている、又は同意している場合 著名人は、その存在が公的な性格を備えており、私事の範囲は狭い
私人の私生活上の行状であっても、その携わる社会的活動の性質及びこれを 通じて社会に及ぼす影響力の程度などによっては社会的活動に対する評価な どの資料として、
名誉棄損の罪にいう「公共の利害に関する事実」にあたる 場合がある
③ プライバシーと個人情報
プライバシーと個人情報は、現在では大別されていない。
プライバシー=個 人情報との考え方が一般的になりつつある。個人を特定できる情報などの動 り扱いには十分注意が必要である
【プライバシー侵害 ビデオ撮影調査の裁判判例】
探偵業者の調査対象となった京都市内の女性(40)が、マンションの自室近くの 通路に ビデオカメラを設置され盗撮されたなどとして、
この業者(同市中京区)に 慰謝料など 計523万円の支払いを求めた訴訟の判決が25日までに、
京都地裁で あった 中村隆次裁判官は「女性のプライバシーが侵害されたことは明らか」として、業者に 50万円の支払いを命じた。
業者側は「控訴も視野に対応を検討する」としている
3 民法(民事)不法行為など中心に探偵業務関係
①不法行為(民法第709条)
条文「故意または過失によりて他人の権利を侵害したる者は之によりて生じた る損害を賠償する責任に任ず」
② 不法行為に対する損害賠償の制約条件
・他人が故意、又は過失によって損害を加えたことが必要である
・相手方の権利、又は法によって保護されている利益を違法に侵害したか 私にお任・加害者の行為と被害者の現実に被った損害との間に、相当因果関係の存在することが必要
相当因果関係=社会生活上の経験に照らして、通常その行為からその結果が発生することが相当だとみられる関係
上記3点が全て成立しないと損害賠償請求は不可能 不貞の損害賠償(慰謝料)請求に於いて、当事者から婚姻の事実を伝えられ ていなかった場合や、
その事実を予見することができない状況にあった場合 の第三者請求などが考えられる。
しかし、婚姻の事実の確認は自己の責任に 任せられている為、全く非がなかったとはいえず多少の賠償責任を負う場合 が多い
③故意・過失
故意とは、「自分の行為により他人の権利を侵害する、又は違法行為と認識し いいながら敢えて行う行為」
例)交際する異性が結婚していることを承知の上で性的関係をもつ
*交際している異性が結婚していることを承知の上で性的関係を持つ行為は、
相手の配偶者の権利を侵害し、家庭を破綻させるかもしれないと認識してお り故意と言える。
過失とは、「注意すれば他人の権利を侵害することもなく、又違法行為に問われない行為」
例) 車を運転中にカーステレオの操作に気を取られ、前方の横断歩道を横断中の歩行者をはねた
*運転中にカーステレオの操作をすれば前方への注視が行えないと理解して いるがステレオの操作自体は違法といえず、
注意して行えば事故を回避できた ような場合、故意にはねたとは言えず過失となる。
過失には結果の予見について払うべき注意を著しく怠った重過失と、わずかな 注意を払っていれば回避できた軽過失があるが、過失の重軽は行為者の職業、
社会的地位、資格などによっても判断基準が異なる場合が多い スーパ当然、故意による権利侵害、違法行為においても知識のある者が行う行為と、
からしこまったく知識の無い者では判断基準が異なる
④権利の侵害 (法行為に対する損害賠償の制約条件)
(民法第709条)
条文「故意または過失によりて他人の権利を侵害したる者は之によりて生じた る損害を賠償する責任に任ず」とあり
権利の侵害は損害賠償の生ずる要件とし てあげられている。権利とは法律上保護に値する利益を含んでいるもの全てに 与えられている。
法律上保護に値する利益を法規違反(法律違反に限らない)
による行為によって侵害した場合に「権利の侵害」とされる。
例) 不貞は法律違反とは言えないが、権利とは、夫婦の一方が相手方に対して有す れている貞操保持を求める請求権を意味します
⑤損害の発生 (法行為に対する損害賠償の制約条件)
民法上の損害賠償請求要件の損害の発生とは、被害者が現実に何らかの指定も 被っていなければいけない。
財産上の損害とは限らず精神的苦痛、肉体的苦痛 なども非財産的な損害も含まれる
⑥相当因果関係(法行為に対する損害賠償の制約条件)
社会生活上の経験に照らして、通常その行為からその結果が発生することが 相当だとみられる関係とされ、原因となったものとその結果の結びつきを指す。
要するに一点の疑義も許されない証明でなくとも、経験則に照らして、 すべての証拠を検討し、
特定の事実が特定の結果の発生を招いたとする関係を真実として認定するに値する確率を証明することであり、
その判定は通常人が疑いを差し挟まない程度の真実性の確信を持ち得るものであることを必要とし、かつそれで足りる」と判例が示している
例)妻子ある男性と婚姻の事実を知らずに交際し不貞関係に至った場合であ っても瑕疵(注意すれば避けることの出来た責任、過失、注意義務)を問われる可能性が高い。
住所を教えてくれない、家の電話番号を知らない、電話 中村別に出られない時間帯があるなど、少し注意すれば婚姻を疑うべき諸事情がある場合は因果関係が成立
⑦調査業における不法行為 (事務関連)
虛偽記載
調査報告書の内容に虚偽があった場合、依頼人に損害を与えた場合、当然権 利侵害として損害賠償の責を負う。
ただし、記載内容に客観的な過失がない 場合は責任を免れる。 判例) 信用調査の結果、報告書の虚偽により取引のチャンスを失ったケース
※調査会社が調査を行う場合には、真実でなく、誤った調査結果によって調 査される者の名誉、信用を傷つけることのないよう
事実関係を十分に調査し た上で慎重に報告書を作成すべき注意義務がある。仮に調査の結果を出すに あたって資料が不十分な場合、
その旨を記載した上で作成者の判断過程を示して、読む者が誤った印象を持ち、その結果被調査人の名誉、信用を毀損す 「要されることのないよう表現上適切な配慮をすべきである
浮気調査の報告書記載に関しても同様
客観的な事実以外の記載にて、読む者が誤った印象を持ち、その結果被調査人の名誉、信用を毀損することのないよう表現上適切な配慮をすべきである
例) 調査対象者が異性と、人気の無い暗所に車輌を駐車していたとしても不 貞の事実が確認できていない段階では
不貞相手、不倫相手、第2対象者など の記述はしない。
またその他(飲食店での会食など)の記述も、客観的事実 として不貞行為が確認できていない段階での記述には配慮が必要
消費者契約法違反
契約書に「報告書の内容について一切の責任を持たないなどの表記がされて いてもその行為は一方的に消費者に対する不利益な行為(不法行為)として
契約無効などの厳しい処罰の対象となる
明らかに浮気していないことが判断できるのに、「浮気していますね」と強引に調査契約を結んだ場合などは、詐欺罪等も含め消費者契約法違反に問われる
調査結果をもって、十分な結果が得られているにもかかわらず、虚偽の説明 ※限定の人 (まだ証拠が不十分で負けるかもしれないなどの説明)にて
畏怖させ追加調査の契約を結ぶ行為も消費者保護の観点から違反となる。
逆に今後調査を行っても明らかに望む結果が得られないことを承知の上で、 行う契約行為も同じ
調査員3名での料金設定で調査契約を結び、実際の実地調査で調査員を1 名にて行い、依頼人に指摘されたようなケースも消費者契約法違反及び詐欺 罪に問われるので十分注意する
4 刑法(刑事)探偵業務関係
刑法から調査業務に係る犯罪から調査員が犯す可能性のある犯罪を確認する
①住居侵入 (刑法第130条)
条文:正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、
又は要求を受けたのにもかかわらずこれらの場所 から退去しなかった者は、3年以下の懲役または10万円以下の罰金に この話処する
保護法益法によって利益を保護しようとする根拠は、人の住居の平穏である
場所
侵入、犯罪行為となる行為場所は、住居、人の看守する邸宅、建造物、艦船に限られる。
住居の場所とは、人の起臥侵食に使用される場所、使用が一時的、継続 的を問わない。また住居に付帯している塀で囲まれた庭のような場所も 含まれる。
ガレージ、車庫など「人の看守」とは事実上の管理、支配をいい、実際の見張りを意味 ものでなく、立ち入り禁止の看板、施錠により他人の侵入を拒む趣旨の 表現があればよい」
「邸宅」とは、住居用に人の使用のために区画された場所であるが、現に人の住居として使用されていないもの空き家、別荘など
「建造物」とは人の住居目的以外の建物、官公庁の庁舎、学校、工場 事務所、倉庫など
参考判例
・罪質
住居侵入罪は、現に平穏にその住居において生活をしている人の安寧を 保護する目的とするもので、その所有権が誰に帰属するかを問わない
札幌高裁函館支部
・住居の意義
住居は一戸建ての建物のみだけでなく、旅館料理屋の一室でも、これを 借り受けて使用し、又は宿泊飲食している間は、その客の居住する住居
名古屋高裁
・故なく
通常人は、現行犯逮捕の目的であっても、承諾なくして他人の住居に侵 入することはできない
名古屋高裁
軽犯罪法
上記場所以外にも軽犯罪法の1条32号に「田畑等に進入する罪」の規定が住居侵入罪の補足として付記されている。
立ち入り禁止の場所や耕 地の管理権を保護するとともに、窃盗や損壊行為の防止のため。(田畑 に限らず)
張り込みするのに他人の畑に潜んで調査を行うと軽犯罪法違反の罪に 問われる
侵入と不退去
「侵入」とは、住居者、看守人の意に反し他人の住居等に侵入すること により人の生活の平穏を害する行為として権利利益を侵害したことに なる。
住居者、看守の了解があれば成立しないが、玄関までは通された が勝手に居間まで上がりこむ様な行為は住居不法侵入となる。
脅したり 偽って騙して承諾させたような場合は本心からの承諾ではないので不 法侵入が成立する。 不退去とは、承諾を得て入った者が、
または誤って入ってしまった者が 住居者や看守人から退去の要請を受けたにもかかわらず、退去しないよ
うな場合、ある一定の時間経過をもって不退去罪が成立する。時間経過 とは通常の帰り仕度、誤って入ったことに対する謝罪等に掛る時間。
何 とは通常の 度も退去の警告をしたにも関わらず退去しないなど
住居侵入未遂罪
住居侵入の罪については未遂を罰する。完全に犯罪を予見できるような
場合は未遂罪が成立する。ピッキング工具を所持しマンションの共用部 れるか 分に進入した場合や塀に跨った場合、錠前を損壊しようとしている場合など
事例
対象者の表札を確認するためにブロック塀で囲まれた庭に門扉を開けて立ち入り確認した
対象者の車両に発信器を取り付けるためにアコーディオン式のフェン スを開けてガレージ内にある車両に近づいた
対象者の買い物中の容姿を撮影するために、スーパーマーケットの店内 に入り撮影した際、警備員に見つかった
②秘密を侵す罪
信書の秘密 (刑法第133条)
信書開封:郵便物の開封
正当な理由がないのに、封をしてある信書を開けた者は、1年以下の 懲役又は20万円以下の罰金に処する
構成要件
封がしてあること、未開封であること。糊またはテープなどで書状の 封筒を封印してある状態を棄損し、信書の内容を知り得る状態を作り 出すこと、
行為者が内容を読む読まない、内容の了知は問わない。また開封した 封筒の内容が信書でなくとも、信書の外観を呈するものの場合、成立 する
また、本罪は親告罪である。被害者本人からの申し出(処罰を求める 告訴)がない限り罰しない。
信書とは
特定人から特定人に宛てたもので、意思の伝達を媒介する文書
信書隠匿上記信書開封以外にも関係法令で信書隠匿罪がある。信書を受け取り
本人に渡らぬよう隠した場合、6月以内の懲役若しくは禁固または10万円以内の罰金若しくは科料に処する
秘密漏示
業務上知り得た他人の秘密を漏らした者は6月以内の懲役または10 万円以内の罰金に処する。
ただし同法の構成要件は医師、薬剤師、医 薬品販売業者、助産婦、弁護士、弁護人、公証人などまた宗教、祈祷 師など特定人に限る
調査員は上記職業に当てはまらないが、個人情報保護法、各都道府県 条例などに違反する
信書の秘密保持に関して、過去の判例では封筒に限らず郵便法第9条に定める信書 とは封をした書状のほか開封された書状、はがきも含まれる。
秘密には内容以外に も発信人や宛先の住所、宛名なども含むとあるので注意が必要
③逮捕及び監禁罪 (刑法第220条)
その条文:不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、3月以上5年以下の懲役に処する
任意に行動し得る者である以上はたとえ法的に責任能力や行動能力は勿 論、幼児のように意思能力を欠如しているものであっても監禁罪の客 体となり得る
逮捕とは
身体に対し直接的な拘束を加えて行動の自由を奪うことをいう。また逮捕と言えるには自由の拘束時間が継続することが必要(判例では5分以上)瞬間の拘束は逮捕とは言えず、
暴行罪を構成するにとどまる
監禁とは
その方法に有形(縛る)無形(言葉で拘束)にかかわらず、一定の場所からの脱出を不可能にし、継続して(判例では30分以上)
人の行動の 自由を奪う行為監禁する一定の場所とは、建物内にとどまらず、走行中 の車両、バイク、自転車の荷台、空地、どこでもよい。
非常に短時間で あっても(30分以下)罰せられる可能性あり
逮捕監禁致死(傷)
逮捕・監禁そのもの又は、その手段となった行為が原因による傷害、死 亡は重い罪となる
判例
逮捕監禁の罪は、非監禁者が行動の自由を拘束されていれば足り、自己 が監禁されている認識は必要ない
単なる親切で加害者の車両にて自宅まで送ってもらうつもりが強姦目的 であった場合、被害者が降車を意思表示しなくても監禁罪は成立する
監禁罪が脅迫の手段を持って行われた場合、その脅迫は被害者をして一 定の場所から立ち去ることを得せしめない程度のものでなくてはならい
④脅迫罪 (刑法第222条)
条文:生命、身体、自由、名誉または財産に対し害を加える旨を告知して人を背 迫 した者は、2年以下の懲役または30万円以下の罰金に処する
意思表示のできる自然人に限られる。法人はあたらない。脅迫内容を理解できない 幼児や高度の精神障害者も客体にはならない
脅迫の程度は、客観的に判断して、一般人を畏怖(怖がらせる事)させるに足りる ものであればよく、相手が現に畏怖したことは必要ない
5 強要罪 (刑法第223条)
条文:生命、身体、自由、名誉若しくは財産に害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて人に義務のないことを行わせ、
又は権利の行使を妨害した者は、3年以下の懲役に処する。
「強要」とは、暴行、脅迫を加えた結果、被害者に義務なき事を行わせるか、行 うべき権利を妨害すること
「義務のないことを行わせ」とは何ら要求する権利がなく、被害者にも行う義務 がないのに作為、不作為、受忍を余儀なくされること(未遂罪も成立する)
⑥名誉棄損罪 (刑法230条)
条文:公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁固または50万円以下の罰金に処する
死者の名誉を毀損した者は、虚偽の事実を摘示することのよってした場合 でなければ罰しない
名誉棄損の要件は、人の名誉。社会生活上何らかの関係があると考える積極的評 価はすべて名誉に含まれ、
人の行為または人格に対する倫理的価値に限らず、政 治的、社交的、学問的、芸術的能力、身体的、精神的な資質、職業、身分、血統 など
公然とは不特定または多数人が認識できる状態をいう。不特定または多人数が認 識したことを要さない。
人の名誉に関するビラを不特定、多数の面前に掲示して も全員が認識するかどうかわからない。その場合でも公然と事実を摘示したこと になる。
また事実の摘示とは、ある事実に関し具体的に告げることであり、誰の事を示し ているのか明らかでなければならない。
ただし、人名が示される必要はなく、表 現全体または行為当時の状況から誰の事を示しているのか明らかであればよい。
噂であっても人の名誉を害すべき事実である以上、公然これを摘示したときは名 誉棄損罪が成立する
名誉棄損罪の特例 (刑法第230条の2)
条文:前条第1項の行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その日専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断」
であることの証明があったときは、これを罰しない
前項の規定の適用については、公訴が提起されるに至っていない人の 行為に関する事実は、公共の利害に関する事実とみなす
前項第1項の行為が公務員または公選による公務員の候補者に関する事 実に係る場合には、事実の真否を判断し、事実であることの証明があった ときは、これを罰しない
名誉棄損は公益上必要であるときは処罰しない
公訴提起前の公表
捜査機関に犯罪捜査を促すもので、捜査協力することで事実を世論の監視 下に置いて捜査が遅れ被害が拡大することのないようにすることで、
公共 的利害に関するものとなる
⑦信用棄損 業務妨害 (刑法第233条)
条文:虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を棄損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金に処する
信用棄損:人の信用を保護法益とする
「信用」とは人の支払能力に対する社会的評価ないし他人の信頼を いう
偽計とは:錯誤、不知を利用し、又は欺き、誘惑の手段を用いること
公然となされていることでもよいし、偽計を用いる相手方と被害者
の同一性は問わない 業務妨害:人の業務を保護法益とする。
業務(仕事)を妨害する行為。業務の遂行、経営自体を妨害する場合に 限らず、業務の経営を阻害する行為一切を含む。
妨害の発生をさせ るおそれのある行為。実被害は関係ない 。
⑧威力業務妨害 (刑法第234条)
条文:威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による
威力とは:暴行、脅迫は勿論、社会的経済的地位、権勢を利用した威迫、多衆、団体
の力の誇示、騒音喧騒、物の破損など。人の意思を制圧するに足りる勢力 一切を含む
⑨詐欺罪 (刑法第246条)
条文:人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する
前項の方法により財産上不法の利益を得、又は他人にこれをさせた者も、 同項と同様とする
構成要件:不法領得の意思が必要。不法領得の意思とは権利者を排除して他人の物を自己の所有物と同様にその経済的用法に従ってこれを利用し処分する 意思
詐欺の犯罪形態
売り付け詐欺 品質などを偽って売り付け金品を騙し取る
借用詐欺 口実をつけ前借や寸借名目で金品をだまし取るもの
募集詐欺の事業資金や寄付金集め名目で金品をだまし取る
無銭詐欺の 支払の意思もなく宿泊、飲食、乗車して不法の利益を得る
保険金詐欺
結婚詐欺など
⑩恐喝罪 (刑法第249条)
条文:人を恐喝して財物を交付させていた者は、10年以下の懲役に処する
前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、 回り 同項と同様とする
恐喝とは:相手の反抗を制圧するに至らない財物領得の暴行、脅迫行為
相手が反抗し、これを制圧して財物領得した場合、強盗罪になる
客観的構成要件
-1 社会通念上、相手方が畏怖し財産上の処分行為をするような脅迫を加えること
(恐喝行為)
-2 相手方が畏怖すること
-3 相手方がその意思により、財物ないし財産上の利益を処分すること(処分行為)
-4 財物ないし財産上の利益が、行為者ないし第三者に移転すること
主観的構成要件 故意のほか、不法領得の意思が要求される。この点は、他の領得罪と共通である。
「恐喝罪」の構成要件は、恐喝の結果、相手方が畏怖し、任意に財物を応 は利益の処分を行い、財物を領得し、又は不法の利益を得るという因果関係を要する
なお、暴行も「脅迫」の一手段となる
権利行使と恐喝
債権の取り立てなど権利行使がされる際、ときに大小の脅迫行為がされることがあ るが、
この場合、恐喝罪の成立が問題となり、無罪説、恐喝罪説、脅迫罪説が存在 する。
この点については、恐喝罪が成立しうるとしつつ、取り立てる金品の額が有効な権 利の範囲内であり、
かつ、方法が社会通念上是認できる範囲に止まる限りにおいて のみ違法性が阻却されるとする見解が有力である
他の犯罪との対比
「窃盗罪」とは、財物を領得する点では共通するが、相手方の意思による処分行為に基づく必要がある点で異なる
「強盗罪」とは、脅迫を手段とする点では共通するが、脅迫の程度が相手方の反抗 を抑圧するに足りる程度のものである必要がない点で異なる
「詐欺罪」とは、相手方の意思に基づく処分行為を要する点で共通するが、その意思が錯誤でなく畏怖に基づく点で異なる
公訴時効恐喝罪の公訴時効は、刑事訴訟法第 250条4号により、7年である
判例
他人に対し、権利を有する者が、その権利を実行することは、その権利 の範囲内であり、かつ、その方法が社会通念上一般に忍容すべきものと 認められる程度を超えない限り、
何ら違法の問題を生じないが、右の範 囲程度を逸脱するときは違法になり、恐喝罪が成立する
⑪軽犯罪関係
刑法の補充的、予防的、道徳的性質を有している
刑法で刑罰を与えるほどの犯罪ではないが、道徳的に規制したり重大犯 年に発展させないために予防的に規制となっている犯罪が軽犯罪である
法定刑 拘留または科料
1.潜伏の罪(1条1)人が住んでいない邸宅、建物、船舶の中に正当な理由な
く潜んでいたもの」
(住居侵入罪の予防的補充規定:犯罪集団の根城等にならないように) 例)張り込みの際、ちょうど壊れかけた建物があったため、内部に潜んで張り込んだ
2.凶器携帯の罪(1条2) 正当な理由なくて刃物、鉄棒その他、人の生命を害し、又は人の身体に重大な害を与えるのに使用されるような器具を隠して携帯していた者
例) 調査員が車両損壊犯の調査張り込み中、護身用の警棒を警察官の職質で発見
3.消灯の罪(1条6)正当な理由なくて他人の標灯または街路その他公衆の通行 し、若しくは集合するが所に設置された灯火を消した者。
例) 車両内から張り込み中、街路灯の光が車両の中を見えやすくするので、街路灯を消して張り込みを続けた
4.称号詐称、標章等窃用の罪(1条15) 法令により定められた制服若しくは勲章、記章その他の標章若しくはこれらに似せて作った物を用いた者
例)聞き込みの際、警察手帳に似た標章を見せ聞き込みをした
5.窃視する罪(1条23号)正当な理由がなくて他人の住居、浴室、更衣場、 お知的便所その他、人が通常衣服を着けないでいるような場所をひそかにのぞき見た者
例)調査の際、対象者の住宅の窓から室内を覗く行為
6.排泄の罪(1条26) 街路又は公園その他の集合する場所で、たんつばを吐き、又は大小便をし、若しくはこれをさせた者 例)長時間の張り込み調査で、我慢できずに排泄した
7.追従の罪(1条28)他人の進路に立ちふさがって、若しくはその周辺に群がって、立ち退こうとせず、
又は不安若しくは迷惑を覚えさせるような仕方で他人に付きまとった者 例)相手に尾行が発覚していたが長時間尾行し、抗議を受け警察を呼ばれた
8.はり札、標示物を除去するなどの罪(1条33)みだりに他人の家屋その他の工作物にはり札をし、若しくは他人の看板、禁札、その他の標示物を取り除き、
又はこれらの工作物若しくは標示物を汚した者
例)調査先の敷地に立ち入り禁止の禁止札を取り除いて調査した
9.虚偽広告をする罪(1条34)公衆に対して物を販売し、若しくはG 又は役務を提供するにあたり、人を欺き、又は誤解させるような事実を挙げて広告をした者
⑫刑事訴訟法関係
現行犯逮捕 (刑事訴訟法第213条)
現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる
現行犯人とは現に罪を行い、又は現に罪を行い終わった者(準現行犯) 準現行犯人とは、犯人として追呼されている。
ぞう物又は明らかに犯罪の用 に供したと思われる凶器その他の物を所持している。人体又は被服に犯罪の 顕著な証跡がある。
誰何されて逃走しようとしているなど罪を行い終わって から間がないと明らかに認められる者
現行犯逮捕において抵抗を受けた場合は、その際の状況からみて、社会通念 上逮捕のために必要かつ相当であると認められる限度内の実力行使は許され る。
たとえそれが刑罰法令に触れても刑法35条(正当行為)により罰せら れない
軽犯罪では緊急逮捕が出来ない。通常逮捕についても被疑者の住居若しくは 氏名が明らかでない場合
又は正当な理由無く警察からの呼び出しに応じない などの場合を除いては逮捕が出来ない。現行犯逮捕は被疑者の住居、氏名が 判明していない場合、
若しくは被疑者が逃走の恐れがある場合は許される 軽犯罪での現行犯逮捕は慎重に行う必要がある。
5 電波法法131号
定義
300 万メガヘルツ (3000GHz)以下の周波数の電磁波 目的 その公平かつ効率的な利用を確保する
探偵に関係する電波法違反 携帯電話及び GPS 端末等の特定無線設備の技術基準適合証明等 (第 38 条の2~38)
技術基準適合証明とは小規模な無線局に使用するための無線設備が電波法な どの法令等によって定められている技術基準に適合していることの証明
特定無線設備(携帯電話、アマチュア無線機、無線 LAN、コードレス電話) などの電波を発生する小規模な無線設備について、
総務大臣の登録を受けた登 録証明機関が一定の基準に基づき検査を実施し、機器が電波法などの遵守すべ き法令等に定められている
技術基準に適合していることの証明=適合表示無 線設備
端末のバッテリーケースに証明書ラベルが張ってあるので認識可能
違反例)
証明書ラベルを剥がして使用した
端末本体のケースを開け、ケースを取り替える行為はい 端末の機能の一部を改造にて使用制限する行為 アンテナを正規以外のアンテナと交換する行為など
=違法改造
使用に関する違反
GPS 端末の位置情報の提供は、位置を検索される者の承諾を前提と して承認を受けており、承諾なしでの検索結果を第三者に提供した場 合、
プライバシー侵害など他の法令と併せ違反となる
その他盗聴されている、電波の攻撃を受けているとの相談者の自宅に電波妨害発生器(通称ジャマー)等の設置をすることも電波法違反
(違法 無線局の開設)にあたる場合があるので注意が必要ジャマーの販売自体は違法ではない 技術基準適合品は除外
6 弁行為
非弁行為(活動)とは、弁護士の資格を持たずに報酬を得る目的で、弁護士法7の の行為(弁護士業務)を行うこと
一般的に非弁行為とは、有料で法律にかかわる相談(離婚の慰謝料や親権に関する相 談示談交渉、示談書の作成、内容証明郵便の作成)を弁護士資格のないものが行うこと
例1)浮気調査契約の際に「浮気相手との示談交渉に付き合います」などと言って調査後に依頼者と同席の上で相手方との交渉の場に居合わせた
⇒完全に非弁行為 調査報酬の中に示談交渉が含まれると判断される
例2) 浮気調査終了後、依頼者に「一人で相手と交渉するのが恐いから付いてきて」
と泣きつかれ、仕方なく交渉の場に同席した ⇒非弁行為と取られる可能性あり 探偵は依頼者に慰謝料の額や交渉の進め方などのアドバイスをしたり、その場 で求められるケースが多い。
アドバイスなどが探偵のサービスの一環となって いる現状では調査依頼を有償で受けている以上、直接交渉の場にいることにより業務行為による非弁行為ととられる
例3)ストーカー調査でストーカーにストーカー行為を止めるよう交渉した
⇒完全に非弁行為 ストーカー調査中にストーカー行為者と交渉した場合、交渉が業務の一部にな り調査報酬の中に示談交渉が含まれると判断される
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