探偵ブログ2022.04.10
【探偵が考える】人格権・プライバシーの保護の体系
【探偵が考える】人格権・プライバシーの保護の体系
1.プライバシーの全体像
プライバシーの権利は、プライバシーという言葉自体が日常用語とされており、はっきり 言わなくても概要は分かっているものとされる場合が多く、
必ずしも正確には論じられて、 ない。また、正確に定義づけたところで、どれだけの意味があるのか疑問である。
そうは言うものの、これに類するものとして、人格権、肖像権、名誉権、著作者人格権静 穏権、自己決定権等よく似た概念があり、注意しないと、混乱してしまう。
ここでは、簡単にその体系を整理して、それぞれの効果を見ることにしよう。
まず、全体の体系は次のように考えられる。
憲法上の基礎
・ 個人の尊厳(憲法第13条前段)
・生命・自由・幸福追求権(憲法13条後段)
人格権
・ プライバシー 不可侵の人格権として広範な権利
・ 人格追求権 子持つ・持たない権利、安楽死等
・ 氏名権 名前に対する支配権
・ 肖像権 人の外貌や、容姿に対する支配権
・ 名誉権 名誉を守り、支配する権利
・ 著作人格権 公表権、氏名表示権、同一性保持権
環境権
・静穏権 静かに暮らす権利
この体系は、確定したものではありませんが、概要はこのようになる。 では、現代的な課題と、これらの法律上の概念とを関係づけながら議論をしてみよう。
2 現在のプライバシーの権利
この権利は、広い概念では「ほっておいてもらう権利」であり、干渉されないと言う内容を意味するものでもない。
しかし、そうした抽象的なものではなく、さらに現実的な、具体てきなものとしてして捉えた方がわかりやすいのは事実である。
そこで、現在は、まず、自己情報 大和撫という把握がなされているようだ。また、この考え方の方が実際的だろう。
こうしたた観点から、極めて現代的な視点が明らかになる。
情報化社会の中で、個人の情報 二人歩きするようなことがないよう、自分の情報は自分で管理が可能となるものでなけれ からない。
例えば、納税に関する情報、資産に関する情報、過去の非行歴や犯罪歴に関する情報、行政犯の事実に関する情報、精神障害に関するもの、
破産や、免責に関する情報等 行政庁が持つ情報が大量にあるのが現在だ。こうした、貴重な重要情報が、情報公開の名目 で、流出することは許されない。
情報公開というのは、行政庁自身隠そうとしている情報や、行政庁の判断自体や、行政庁 の行為を基礎づけるあるいは基礎づけない事実の公開、累計的な情報の公開であって、
個人 の人権にかかわる個別の個人情報、特に他人に知られたくない個人的な情報は、基本的に公 開の必要はないはずである。
この様に、情報公開法とプライバシー保護法とは、矛盾するものではなく、国民の権利を 実現する方法として、
公開されるべき情報と、公開から守られる個人情報との調整をはかる ものであり、両者が相まって、確かで、安定した本当の情報公開が可能となる。
ここでは、人格権の中心的内容をなす、プライバシーの権利の現実的な内容について、以 下整理してまとめてみよう。
3.自己情報管理権
自分の情報に関する管理支配権そのもので、一切の自己に関する情報についての管理支配 を行えるという権利で、
権力による個人の情報が勝手に開披されるのを禁止する「プライバ シー保護立法」を強く要請するものである。
ここでの情報は、主に、国家、行政庁の掴んでいる個人情報が対象となります。憲法と、 それに基づく情報関連法規(法案)の発想は、国家の権力行使に関する規制であり、
私人間 では憲法はそのまま適用になるのではなく、「私的自治の原則」が優先されると考えている ので、民法の諸原理を通して、
間接的に憲法の精神を活かして行くように考えることになる だろう(後述)。
国家の持っている情報は、当該情報の属する個人に対し要求があればすべて開披されなけ ればならず、
その本人の同意なくしては、公開も、移動も、消去も、複写などもできないと いう考えである。さらには、個人情報に錯誤や、過誤があるときはその誤情報の訂正を請求 する権利があると考えられる。
これがプライバシーといわれるものの基本であり、「プライ バシー保護法」の基本になるべきものなのである。
プライバシー権の民事法の関連では、不法行為が考えられる。
自己情報を、他人が不当に 開披、使用、公開等した場合には、そのこと自体で、不法行為を構成することになる。
「正当なり理由がなく他人の私生活を公開することが許されてはならないことは もない。いわゆるプライバシー権は私生活をみだりに公開されないと言う法的但 利として理解される。」
(東京地方裁判所昭和39年9月28日判決「宴のあと」事件)として認められている。
4.情報盗取行為の禁止
これまでの「盗聴」は、通信の秘密の侵害として理解されてきた。確かに、通信の秘密の 観点から、「盗聴」が許されないことは憲法21条2項で規定されているとおりである。
ころが、現在は、工学機械の発達に伴い、高度な情報盗取行為が可能となっている。
会話の傍受
高感度マイクを利用したり、集音機を使うなどして、機械工学的に通
常聞けない。人の会話を盗取する行為がある。ホテルなどで隣室の 会話を盗取するようなこともこれに入るだろう。
私生活の監視
高感度の工学カメラを利用するなどして、私生活を盗視することが入る。
市民がのぞきを行う行為は軽犯罪法にかかるが、国家や、行政庁が行う 行為は組織的、政治的なものであるなど、組織的、政治的、計画的な犯罪行 為になることだろう。
私人による盗視行為、監視行為は、みだりに私権を侵害する行為であり、これも、民法上 の不法行為になることになる。
違法行為につき損害賠償の請求ができる。併せて、軽犯罪法 第1条23項「正当な理由無くして、人の住居、浴場、更衣室、便所その他人が通常衣服を つけないでいるような場所を
密かにのぞき見たもの」に該当して、拘留などの処罰を受ける ことになる。尚、この、正当な理由というのは犯罪捜査などで正当な令状を持っている場合 を言うもので、極めて厳格に解される。
5.人格追求権
ここの権利はあまり日常的には聞き慣れない権利ですが、人間が人間らしくいきる権利、他 のもの、国家や、政府などから、
その生き方や生活の方針、家族の構成などに対し、統制さ れたりしないということである。
この権利内容は、子供を持つ自由、持たない自由があげられる。子どもを何人持とうと本 来自由のはずですが、子ども一人政策など、半強制的な政策で、家族構成を決めるなど、
人 類の成長を計画化するという無謀な行為とも言うべきだろう。そしてなによりも、人間の目 由を基本的に侵害するものであり、許されない。
思める。でもそも、いきる自由も、死ぬ自由も、本来人間個々人に帰 属していると言うべきだろう。人の生命を国家が管理するのは問題のはずだ。
自殺を犯罪と するなど、まだまだ、生命自体を国家が管理しようとしている。
この観点んでは、安楽死は生命の自己決定権を尊重するものであることから、国家管理から、 答理、個人の自己決定の自由を認める第一歩になるものである。
個人の尊重の観点から、 慎重に決定すべきものだろう。
6. 氏名権
個人の氏名はその人の個性を示すものであり、それは自己情報管理の一部分を占めるもの が自己情報の中でも、重要度の高いものとして注目を集めている。
実際にドイツ基本法 では Namensrecht (ナーメンスレヒト「氏名権」)として、はっきりとこの権利を認めてい る。
ただし、私権として認めて、不当に自分の名前を使用する者に対して、その氏名の使用 を禁止したり、差し止めを請求したり、損害賠償の請求などができる。
また、商標法上は、 その個人の氏名を勝手に使用してはならないと言う規定がある(商標法4条1項8号、尚、 商法21条他人の営業と誤認する商号の使用禁止参照)
また、氏名権を侵害する行為とし て、正確な呼称を保護する必要を認める(最高裁判所昭和63年2月16日判決)が、不正 確な呼称を使用したとしてもそれだけでは明らかな蔑称とも言えないと判断している。
しか し、明らかな蔑称と評価できるときはその事も、損害賠償の対象となる。
7.肖像権
みだりにその容貌、姿態を撮影されたりすることのない権利を言う。警察官がみだりに個人 の容貌を撮影することは憲法に反して許されないと判断している(最高裁判所大法廷判決昭 和44年12月24日)。
個人の容貌や姿態であると特定できるような公表行為は許され ない物というものである。
例えば、ホームページに写真を使用する場合、人が写っていて、 その人が特定されるようなときは、その人の同意無くして掲載するのは、違法となる。
8.環境権・静穏権
豊かな環境に生活できるという権利で、新幹線公害や、基地公害による騒音や、振動、環 境の悪化などが問題となる。
特に、これからは、原子力発電所の事故の危険などから、建設 場所の住民だけではなく、かなり広範囲の、近隣諸県全体の環境問題、水質問題として、考 える必要がある問題だろう。
また、静かに暮らす権利というものがあるが、環境権を超え る奴らが、法的にどの程度特定できるのか他の権利、例えば知る権利とか、表現の自由とか、
ムイ動の自由とか言うものとの調整をどの様にするかという問題もあり、なかなか困難な 問題がある。今後の判例の集積を待つほか無いだろう。
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